こうの史代さんのマンガを原作とした連続ドラマ、「この世界の片隅に」が、7月15日からスタートしました。
コミックスの累計発行部数は130万部以上に上り、2016年に公開された劇場版アニメもロングヒットを記録しています。
ファンも多く、人気コミックスを実写化することによって、「日曜劇場」の注目を集めています。
視聴者からの反応は「朝ドラみたい…」?
7月15日に「この世界の片隅に」の初回がスタートしましたが、視聴者からは「まるで
朝ドラのよう…」といった感想が多く寄せられました。
「朝ドラの雰囲気がプンプン…」
「なんか朝ドラっぽい!」
「朝ドラをみてる気分!}
確かに、NHKの連続テレビ小説である「ひよっこ」や「ちゅらさん」で知られる岡田惠和さんが脚本を手掛け、ヒロイン・すず役の松本穂香さんを中心に、朝ドラ経験者が多く登場するとなれば、そう感じても無理はありません。
しかし本当に理由はそれだけなのでしょうか?
実は他にも朝ドラを連想させる理由はあったようです。
朝ドラ経験者の女優が勢ぞろい?尾野真千子の和装から松坂桃李の「小さな恋人」まで…
「この世界の片隅に」が連載されていたのは、マンガ誌「漫画アクション」でした。
2009年には「文化庁メディア芸術祭」のマンガ部門優秀賞を受賞しています。
戦争中、広島・呉に嫁いだ18歳のすずの生活が、戦争が激しくなるにつれ崩壊されていく様子を描いています。
劇場版アニメでは、女優ののんさんがすずの声優を担当したことでも話題となりました。
マンガの実写版ということで、TBSはまさに「朝ドラ級」の大規模なヒロイン・オーディションを実施しました。
約3000人の参加者の中から、昨年「ひよっこのメガネっ娘」として脚光を浴びた松本さんが選ばれ、今年5月には、報道陣の前で初のお披露目。
同時に今年3月末まで「わろてんか」に出演していた松坂桃李さんが、すずの夫役を演じることになりました。
その他にも、
- オリジナルキャラクター・刈谷幸子役→「ひよっこ」の伊藤沙莉さん
- 周作の姉・黒村径子役で→「カーネーション」の尾野真千子さん
- すずの妹のすみ役→「べっぴんさん」の久保田紗友さん
- 夫が出征中の主婦・堂本志野役→「べっぴんさん」の土村芳さん
7月15日に放送された第1話でも、「ひよっこ」の古舘佑太郎さんと「瞳」に出演していた榮倉奈々さんが、恋人同士として登場しました。
「わろてんか」では、松坂さんの「小さな恋人」を務めた新井美羽ちゃんが、すずの子供時代を演じました。
「あまちゃん」の夏ばっぱで知られる宮本信子さんのおばあちゃん役、尾野さんの美しい和装姿から、過去の朝ドラを思い出してしまった視聴者も多かったのでしょう。
朝ドラヒットにはこんな法則があった
朝ドラにはヒット作品が多いですが、そのヒットの裏側には、こんな法則がありました。
ヒロインが「時代と闘う」ことがその1つ。
要するに、「戦争」です。
戦争を背景に描いているところも、朝ドラ人気の秘密です。
「この世界の片隅に」でも、戦争の背景を織り交ぜているため、朝ドラっぽさが生まれます。
また、ヒロインはけなげで一生懸命なキャラクターで、ヒューマン要素の強い家族ものという設定も、朝ドラの大前提。
何気ないことがとても大事な日々の積み重ねという点も、「この世界の片隅に」が朝ドラっぽく見えてしまう原因でしょう。
最近、戦争時代を描くドラマはスポットの場合が多く、朝ドラ以外ではほぼ見られなくなりました。
日曜劇場でも、企業や組織といった社会の中で奮闘する人たちと、その人間模様を痛快に描いたものが多かっただけに、今回の「この世界の片隅に」は異質とも言えるでしょう。
これからどんな展開を見せてくれるのか、楽しみですね!