中国で一人っ子政策が廃止されたことをきっかけに、最近不妊治療ブームとなっています。
不妊治療を成功させるためにも、海外に渡る中国人夫婦も多数見かけるようになってきました。
タイの首都バンコクのピヤウェート病院で、不妊治療を進める夫妻の姿も
体外受精を決意した夫婦、タイで不妊治療を受ける決意
中国で一人っ子政策が廃止されたのは、チャン・インチェさん(31)と、妻のシュウ・メンシャさんにとって天の恵みでもありました。
2人は子供を2人欲しいと思っていたからです。
そして受精卵を凍結し、体外受精することを決意していたのです!
しかし中国では、体外受精治療のほとんどが不妊の夫婦にしか認められないことになっています。
2年前に一人っ子政策が廃止されてからは、不妊治療クリニックに来る患者数が伸び、治療まで数か月待たされることもありました。
そこで2人は、タイで不妊治療することを決意したのです。
体外受精ブームとなり、多くの中国人が東南アジアや海外になだれこんでいます。
パイロットとして活躍するチャンさんは、中国には「男女双全」ということわざがあると語ります。
1つの家庭に男女の子供がいることで、家庭は完全になるという考えです。
海外では中国人の不妊治療患者のためにマーケティングを強化
海外のクリニックでは、第2子、第3子を欲しがる中国人へのマーケティングも強化しており、中国語に対応できる職員を補充し、中国語のウェブサイトも積極的に立ち上げています。
中国の統計によると、一人っ子政策の廃止により、9000万人の女性がもう1人子供を持つ資格を得たといいます。
昨年の第2子出生数は、第1子出生数を大きく上回るようになりました。
しかし子供を持つことを後回しにして、出産適齢期を過ぎてしまう夫婦も増えています。このため、科学的観点からの支えも必要となりました。
中国政府によりますと、出産適齢期人工の約12%が、自然妊娠できない人たちです。
しかしながら許認可を受けた不妊治療クリニックは約400施設に留まっており、利用するには約1年以上順番待ちしなければいけないこともあります。
ニーズは高くても、これでは対応しきれないと、上海市第十人民医院の生殖医学部門の責任者である千日成は語りました。
そこで中国人は、マレーシアやカンボジア、タイ、ロシアなどに向かいます。
中国では、体外受精治療の大部分は不妊の夫婦に限定しています。
いずれにせよ、2年前に一人っ子政策が廃止されてからは、クリニックを訪れる人の数が急増し、治療まで何ヶ月も待たされる人が増えてしまったのです。
体外受精など、不妊治療を、東南アジアやアメリカで受けようとする中国人が多いです。
中国で体外受精を行う場合、費用は約50万円かかります。
これが海外だとその倍になりますが、その分質の高い治療が受けられるだろうと期待する中国人が多いのです。
チャンさんは、中国国内で制限されている遺伝子異常の検査を受けられることも、海外での体外受精を選んだ理由の1つと言います。
チャンさんは、「中国人家庭にとっては高額でも、子どもの健康には代えられないのでお金をかけるべき」と話します。
現在タイのクリニックでは、中国人患者が全体の80%に及ぶこともあります。
不妊治療を仲介するグループ「シンガポールの中国系ボーダーレス・ヘルスケア・グループ(BHG)」会長であるシンガポール人ウェイ・シャン・ユーさんによると、「東南アジアに生殖補助医療のサプライチェーンが作られつつある」と話します。
BHGは、中国人患者が世界中の不妊治療専門家と、中国語の通訳を通して話せるビデオ会議のシステムを立ち上げます。
さらにはオーストラリアやタイ、アメリカなどに精子と卵子のバンクを開きます。
主に中国人患者を対象としていて、スマートフォンのアプリを利用すれば、あたかも銀行口座かのように、自分たちの生殖資産を管理できるという仕組みです。