8月10日、世界最大規模の同人誌即売会「コミックマーケット94」が東京ビッグサイトで開幕しました。初日に訪れた人の数は16万人。約1万6千の一般サークルが出展しています。
同人活動と言えば、コミックやアニメ、ゲームなどを中心に取扱う活動です。これらは若者世代から人気が高いイメージが強いですが、最近はコミックマーケットにも高齢化の兆しが見えています。変化しつつあるコミックマーケットの現状について、出展者に聞いてみました。
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出品者は意外と大人?仕事と家庭の両立にあくせく
コミックマーケットが初めて催されたのは、1975年のことです。当時は都内にある産業会館などで小規模に開催されていたのですが、規模が大きくなるにつれて、幕張メッセや晴海など大きな会場へ移っていきます。1996年から現在に渡っては、東京ビッグサイトで毎年2回開催されています。
40年以上にも渡る歴史を誇るコミックマーケット。その出展者のブースを確認してみると、若者ばかりではなく、意外と大人も多いことに気づきます。例えば東方Projectのブースを出展していたのは40代の男女2人組みでした。20年以上もコミックマーケットに参加し続けているいわば常連さんです。
聞けば晴海時代からずっと出展していると話しています。
仕事のかたわらでやっている趣味なため、同人活動の時間を作るのが大変、家族からこれ以上本を売らないでくれと止められていると、葛藤や衝突があり、苦労も絶えないようです。
コミックマーケット歴が23年の41歳の男性は、物流関係の仕事に携わっているサラリーマンです。コミックマーケットのためにさまざまなものを犠牲にしていると言います。
その代わりに好きなことができるのは幸せだし、家族も理解してくれていると、こちらは前向きなコメントでした。
時間があまりない中でも、少しでも活動を進められることに喜びを感じています。
「最近の人たちは根性がない」
コミックマーケット歴25年の46歳の男性は、コミックマーケットはここまで有名になったのか!と、感慨深げに語りました。
「会社の同僚はコミックマーケットが好きなことを知っていますが家族は応援してくれない。」と、切ない胸中を明かしました。
長きに渡りコミックマーケットに参加しているからこそ見える実情を出展者に尋ねてみると、「年齢層が上がってきている」とのこと。
出展者:「若者も増えてるけど、それ以上に長く続けているコミックマーケットファンが多いから、年代関わらず交流の場がもてます。」
来場者については、「最近の人たちは根性がない。昔は通販もなかったから、終了するまでねばって物色していろんなものを探し回ってました。今では目的の物だけ買ったらすぐ帰ってしまう人が多くて、本当にコミックマーケットファンなのかと疑ってしまいます。」
若年層:「80~90年代から趣味に生きてきたおじさんが頑張ってるイメージ」
一方で若者たちの声も聞いてみます。
20代男性出展者:「確かに最近のコミックマーケットに高齢化を感じます。
特にミリタリー系のジャンルは昔と同様オタク層が多いです。80~90年代から趣味に没頭してきたおじさんたちが、いまだに頑張ってるような印象です。」
さらに、年配の人は細かすぎるところがあって、僕らが何か間違えるとすぐ訂正してくると、不満を漏らす20代の男性もいました。
しかし年配のコミックマーケットファンに悪いイメージしか持っていないのではなく、いい部分も若者たちはみています。
「皆さんすごく知識が豊富なので、教えてもらえることも多いです。」
と、コミックマーケットに参加するからこそ得られるメリットについても教えてくれました。
コミックマーケットに年齢は関係ない?大好きな趣味に卒業はなし
かつて人気爆発したと言えば、「新世紀エヴァンゲリオン」です。
同人誌ブームが巻き起こってからすでに20年あまり経っていますので、参加者も40~50代が多いです。
過去には30を過ぎたらコミックマーケットは卒業といった合言葉もありましたが、現在、年齢に境目はなく、いくつになったら卒業という縛りは関係なくなったようにも見えます。長く活動しているからこそ楽しめることもあるので、悪くないという見方もあります。