俳優の香川照之さんと言えば、芸能界きっての昆虫好き。
そんな「昆虫愛」が注目され、子供向け番組に、カマキリの恰好で登場し、周囲を驚かせました。
香川照之が語ったことによると、カマキリなどの昆虫観察で学習したことは、飢えていることの大切さということです。
なんと昆虫観察で大事なのは、昆虫が飢えていることだと話します。
これはどういうことなのでしょうか…。
香川照之「カマキリの獰猛(どうもう)さが大好き」
- ・どんな少年時代を過ごしてきたのか?
「とにかく昆虫が大好きで、昆虫観察に打ち込んでいましたね。特に好きだった昆虫はカマキリです。
小学校の低学年から大学生になって実家を離れるまで、毎日飼って世話していました。だから想い出も深いんです。」
- ・カマキリのどのようなところが好きだったのか?
「カマキリの獰猛(どうもう)なところがたまらなく好きでした。
何かとって食べて生きていくというところが本当に好きです。
勝者と敗者が決定的に分かれているというところが印象的だったんです。
巣の中にエサを持ち込むとことか、エサに寄生するとかじゃなく、カマキリはエサと出会ったらすぐ食べちゃうんです。
それまであった物体も、カマキリに食べられて跡かたもなくなってしまいます。
かじられて顔までなくなっちゃいます。
最後に羽、足、お腹の肝みたいな部分だけ、ボロっと残して終わり。
弱肉強食において勝者であるカマキリを、ヒーローのように眺めるのが好きでした。」
「他にも好きだったのは、クマゼミです。なかなか取りづらかったという理由からです。かつての生息地は西日本で、東京には生息していなかったんです。今は温暖の影響で全国各地でみることができていますが、初めてクマゼミを知った時の印象は、なんだこのでかくてうるさいセミは!という感じでしたね。他のセミよりも高いところにいて、朝しか鳴かないというのもなんだか高貴な感じがしました。
死んで地面に落ちているクマゼミは、羽が透明でも太陽の光にかざすと光を反射して、ビロードのように綺麗に見えるんです。東京では、茶色い羽のアブラゼミがメジャーだったので、クマゼミは本当に憧れでした。
昆虫を庭に放って、ナチュラルな姿を観察するんです
- ・珍しい昆虫を捕まえるのが好きだったのですね?
「はじめは捕まえるという目的がありましたが、次のステップとして、野生に近い環境に放って、昆虫の素の姿を見たいという欲求がありました。昆虫を虫かごに入れてしまうと、昆虫にしてみると戒厳令下に置かれているようなものです。
なんだこれは!、おかしい!、どこにも出口がないという事態に陥ってしまうわけです。
これだと彼らの本質は見抜けなくなってしまいます。
だから庭に放置して観察するんです。子供の時に住んでいた家に庭があって、芝生や木もあったので、そこにカマキリやバッタ類、昆虫、カミキリムシなど、逃げなさそうな昆虫を放置して、昆虫の気持ちになって考えてみたこともありました。
だから捕まえた時は少しショックだった気がします。
でも庭に放たれてしばらくすると、捕まえられていないんだと思って、普段の行動に戻ります。
そこからが観察時間です。
だんだんと昆虫に捕まえられた!というストレスを与えないように捕まえたいと思うようになりました。棒切れをササッと目の前に置いて誘導して、そこに昆虫が止まったタイミングですーっと籠に入れて、出来る限り早く庭に放つように工夫していました。
飢えたカマキリは美しいと思う
- ・虫を観察していて何か学んだことはありましたか?
たくさんありますが、一番の学びは「飢えていること」の大切さです。
野生にいるカマキリは、そうそう餌となるような昆虫には会いません。だから飢えています。
僕はカマキリが餌を食べているシーンを見たいので、空腹状態のカマキリを庭に放って、バッタを目の前に置いたんです。そうすると久しぶりの餌だったからか、たった0.5秒で
捕獲してしまったんです。一気にムシャムシャ食べるところを見て、わー!ついに食べたー!って、はしゃいでいました。」