講談社から発売されている「週刊少年マガジン」で連載していたファンタジー漫画「RAVE」や、「FAIRY TAIL」の作者として知られている真島ヒロ氏。
今年は漫画家デビューから21年めです。
初めてとなるSF漫画「EDENS ZERO」は、6月から週刊少年マガジンで連載し始めました。
前作の「FAIRY TAIL」はまだ描き続けることができましたが、それでも、新しいことをやってみたかったと、これまで慣れ親しんできた環境を捨ててまで新しい環境に身を置くことを決意しました。
どうしてファンタジーにこだわるのか?
そんな真島ヒロ氏に、ファンタジーにこだわっている理由について伺ってみました。
「EDENS ZERO」は今の少年誌にないテーマ」
「RAVE」や「FAIRY TAIL」は剣と魔法を軸としたファンタジー作品ですが、今回SFとして世界観を変えた理由には、何があったのでしょうか?
真島ヒロ氏:「EDENS ZEROはサイエンス・フィクションではなく、スペース・ファンタジーとしてのSF漫画です。
これまで培ってきた「剣と魔法」が通用しない世界観にチャレンジしようとして始めた連載であり、予想以上に難しいと感じています。
これまでの2作品よりも文明が進んだ世界を舞台としていて、テクノロジーで僕がサボってきたフィールドでもあります。
「FAIRY TAIL」では、なんでもかんでも魔法だ!といって片づけていましたが、今は逃げていた分野にあえて挑戦しています。
とはいうものの、デビューから20年以上が経過し、苦手な分野にトライというより、今の少年誌にはSFの要素がなかったこともあり、やりがいを感じたというのもあります。
他の少年誌を確認してみても、SF漫画はありませんでした。
そういった意味でも貴重なテーマだと思いましたし、誰も触れていない部分だったので、これは武器になる!と思ったんです。
すでにSFに取り掛かっていますが、定番である「FAIRY TAIL」や「RAVE」といったファンタジーものをやりきったというわけではありません。
まだ王道のファンタジーはやっていたと思っています。
やる気もまだ十分にありますし。
ただ、今は新しいことにチャレンジしたいという気持ちも強いです。
「FAIRY TAIL」や「RAVE」にもタイムトラベル星といったSF要素があるので、この分野は嫌いではないですし、挑戦することに抵抗も特にありませんでした。
宇宙にドラゴンがいたら面白いだろうなとか、宇宙に桜が舞っていたら美しいだろうなと想像しています。
何か影響を受けた作品があるわけではなく、さまざまな作品を見てまとめて、自分なりに消化して新たな作品を描いている感じです。
これまでの経験が生きてくる作品だと思っています。
たくさんある作品の中でいかに自分の作品を目立たせるかRAVEやFAIRY TAILにはコメディー要素も入っています。
だから新作でコメディー漫画を描くこともできたと思います。
ファンタジーを描き続ける理由としては、ジブリやドラクエが以前から大好きだったからというのもルーツにあります。
ただ、「RAVE」を連載した当時の「週刊少年マガジン」では、ファンタジー作品が全くなかったんです。
バトル漫画はあっても、ファンタジーバトルはなくて…。
その時も、これは武器になる!と思って描きはじめました。
今まで誰も挑戦したことのない境地に踏み込むのも、おもしろいと思います。
もちろんビジネス的にも有利になりますし。
特に「RAVE」の時はデビュー作だったということもあり、何か目立たないといけませんよね。
新人が目立つには、「週刊少年マガジン」に掲載されていない分野で勝負しなければならないと思いました。
そして書き始めたのが「RAVE」です。
その一方でFAIRY TAILは、「RAVE」のように旅をして仲間を集めるのではなく、はじめから仲間が全員いたら面白いのでは?という新たなアイディから始まりました。
少年誌全体を見わたして、そういえばSF漫画ってないな~と珍しく感じたことをきっかけに、半年くらいかけて構想を練りました。」