平成の歌姫・安室奈美恵(40)と言えばダンスや歌だけではなく、ファッションや生き方まで多くの女性に支持されてきました。
歌手としての魅力はもちろん、人間性においても幅広い世代の方たちから人気があり、多くの人から愛されてきました。
そんな安室奈美恵が引退するというニュースが出た時は、世間を揺るがすようなビッグニュースとなりました。
多くの女性のライフスタイルのお手本とされてきた安室奈美恵が、ついに表舞台から姿を消すことになります。
アムラーブームが起こったのは…
安室奈美恵がデビューしたのは平成4年。
この時代はバブル経済が崩壊した翌年で、先行き不透明な経済的不安が日本中に浸透していました。
平成7年には阪神大震災や地下鉄サリン事件が発生し、世間はますます暗い闇に包まれます…。
そんな時代に差し込んだ明るい光のように、この頃から安室奈美恵の歌が爆発的にヒットし始めたのです!
安室奈美恵の影響力がどれだけ大きかったというのは、世間の女性のファッションが示していました。
安室奈美恵のファッションを真似する「アムラー」と呼ばれる女性が急増したのです。
細い眉に厚底ブーツで街を闊歩(かっぽ)する女性が増え、社会現象にまでなりました。
トレンド評論家である牛窪恵さん(50)は、「すっかり元気をなくした男性を元気づけるように、女性が積極的に文化を作った時代」と分析しています。
ただフェミニンで女らしくあるのではなく、「私らしさ」を追求しているところが、世の女性に受けたのではあにかと解釈しています。
安室奈美恵は平成9年になると、突然結婚と妊娠を発表します。
そして公に産休をとることを宣言し、翌年にNHK紅白歌合戦で復帰します。
平成7年には育児休業法が改正され、少しずつ世間に産休や育休制度が広がっていきました。
結婚や出産をきっかけに仕事を離れてしまう女性は多いですが、安室奈美恵はさらにパワーアップして帰ってきました。
結婚後も、男性に媚びない生き方や意志の強さが感じられ、結婚や出産を経験した同じ女性たちからも多くの支持を集めました。
平成9年には男女雇用機会均等法の改正もなされ、社会進出を加速する多くの女性が、新たな生き方を見出そうとしていました。
安室奈美恵はファッションや歌だけではなく、ライフスタイルについても、多くの女性の指針となったのです。
復帰後はライブ活動中心に
安室奈美恵は復帰後、CDの生産枚数が平成10年をピークに減っていきます。
新たな歌を作って商品を生産するモノ主義から、体験重視のコト主義に方針を変えていったのです。
このため、CD生産よりもライブ活動が中心になるようになります。
ライブツアーは、平成12年には13万人を動員し、リーマンショック後の停滞した経済状況が続いていた24年には、34万人にも跳ね上がります。
音楽ジャーナリストである湯浅明さん(70)は、「昭和を思い出す時は美空ひばり、平成は安室奈美恵となることは間違いない」と断言しています。
一方で、時代に左右されない部分も安室奈美恵ならではの魅力でした。
多くの芸能人が「フェイスブック」などのSNSでプライベートを公表し、一般お人から身近な存在に感じてもらおうとしているところ、安室奈美恵さんはSNSを利用せず、プライベートを守って距離を置く姿勢を貫きました。
このような姿勢も、他の有名人とは違っていて、安室奈美恵の魅力の一部となっていったのでしょう。
突然の引退告知
そして昨年9月には、公式ホームページ上で突然、1年後に引退する旨を発表します。
慶元琴美(けいもとことみ)さん(32)は、「出産も、まだ若い40歳での引退も正しいと思えば実行する。絶対にブレない人」と、強く尊敬していることを語りました。
自分の意志を貫き、決めたことに対してブレないところも、世の女性に大きな影響を与えたのでしょう。