売掛債権をすぐに資金化できるファクタリング。しかし、ファクタリングを利用するには、審査に通る必要があります。ファクタリングの審査は通りやすいといわれてはいますが、ファクタリング会社が審査で重視していることとは何なのでしょうか?

目次
ファクタリングとは?
ファクタリングとは、企業の持つ売掛債権をファクタリング会社が買い取り、手数料を差し引いた売掛金を企業に支払うという仕組みのことです。平たく言うなら、ファクタリングを利用すれば、「数ヵ月後に入金されるはずの100万円を、数日以内に95万₍※₎で手に入れる」ことが可能になるということです。※手数料はファクタリング会社、利用形態によって異なります。
ファクタリング会社が審査で重視すること
ファクタリングは、資金繰りが厳しいときにはとても助かるサービスですが、ファクタリングを利用するためには審査に通る必要があります。ファクタリング会社が審査で重視するのは、ファクタリング会社にとってリスクの原因となりうるかもしれないこと、です。まず、ファクタリング会社にとって大きなリスクとなるのは、買い取った売掛金を回収できないことです。何が原因となってそのようなリスクが生じるのでしょうか?
利用する会社の信用力
「倒産寸前らしい」「誠実さが無い」「だまされた」こんな評判を得ている会社と進んで商取引したいと思う企業はないでしょう。信用力にかけるからです。同じように、ファクタリング会社も利用する会社が信頼できるかどうかを重視します。というのも、資金繰りが厳しいあまり、次のようなことをしてファクタリングを悪用する企業は少なくないからです。
- 架空の売掛債権をでっち上げる
- すでに別のファクタリング会社に譲渡した売掛債権を譲渡する(二重譲渡)
- ファクタリング会社に譲渡した売掛金を資金に使う
こうしたリスクを避けるため、多くのファクタリング会社は「面談審査」を行い、経営者や従業員の態度、モラルなどを実際に見てチェックし、本当に信頼できる会社なのかを審査しています。

売掛先の信用力・返済能力
実はファクタリングの審査では、利用する会社の信用力よりも、売掛先の信用力や返済能力の方が重視されています。
なぜなら、もし売掛先が倒産して売掛金を支払えなくなった場合、ファクタリングを利用した会社に返済義務は発生しません。つまり、ファクタリング会社が被害を被ることになります。当然ですが、ファクタリング会社はこのような大きなリスクは避けたいと考えています。なので、売掛先の経営状況₍※₎や信用力を審査し、返済能力の有無を調べるのです。

※経済状況を調べることができるサイト(IR資料、法人信用情報など)があるので、ファクタリング会社が売掛先に出かけて調べる必要はなく、売掛先に知らせることなくファクタリングを利用することは可能です。
売掛金の支払い期日
例えば、「明日返すからお金を貸して」といわれるのと「1週間後返すからお金を貸して」といわれるのでは、どちらの方がお金を貸しやすいでしょうか?
おそらく、「明日返す」といわれる場合ではないでしょうか?返すと約束した期間が短いほど安心感を抱けます。1週間後はまだ良いとしても、半年後、1年後に返すといわれたら、ちょっと考えてしまいますよね。同じように、ファクタリング会社は売掛金が支払われるまでの期間も重視します。ファクタリング会社にとって重要なのは、売掛金の入金が確実になされるか、という点だからです。もし売掛金の支払い期日が半年後だった場合、その間に売掛先の事業が傾き、倒産してしまうかもしれません。そうならないとしても、さまざまなリスクを考慮に入れた審査が行われるのです。
ファクタリングの審査に受かるには?
ファクタリングの審査には、自社と売掛先の信用力、売掛債権の期日が関係しています。さらに審査に受かるため、またスムースにファクタリング会社と契約するために何ができるでしょうか?
事前に必要な書類を用意する
審査に必要な書類があります。事前に準備するなら、スムースにファクタリングを利用できます。
利用する会社の経営状態をチェックし、倒産リスクが無いかを確認します。
- 本人確認ができるもの(免許証・保険証など)
- 直近2~3年分の決算書など、会社の業績が確認できる書類
売掛先の信用力を確認
- 請求書・納品書・請求書・取引先との基本契約書など
- これまでの入金の確認ができる通帳
売掛先の経営実態、売掛先との継続期間、売掛債権が本当に存在するものなのかなどを、ファクタリング会社は知りたいと思っています。売掛先に提供したサービスや商品など、なるべく詳しい情報や多くの資料を準備するなら、審査通過の可能性は高くなるでしょう。
ファクタリングを利用できる売掛債権かを確認
売掛政権の中にはファクタリングで利用できないものがあります。譲渡しようとしている売掛債権をよく確認して、ファクタリングを利用してください。
ファクタリングを利用できない売掛金
- 債権譲渡が禁止されている売掛金(売掛先が譲渡を承諾すれば可能)
- 金額が確定していない、契約内容を口頭だけで変更している売掛金
- 商品やサービスを提供する前の売掛金
- 請求書のみ(注文書・納品書・受領書など売掛金額を証明できる書類が必要)
- 業歴が短い売掛先との売掛金
- 個人との取引による売掛金(ファクタリングの対象になるのは法人間の取引のみ)
- 売掛金全額または一部が手形で支払われる売掛金
正直であること
すぐにでもファクタリングを利用したい、そんな状況下で審査に不利になるかもしれないことは隠したくなるかもしれません。しかし、ファクタリング会社が知りたいと思う情報は正直に伝える方が、信用を得やすくなります。
後で事実が分かった場合、ファクタリング会社からの信用はもちろん、売掛先からの信用を失う結果になるかもしれません。そうすると、資金調達ができないだけでなく、大事な取引先を失うことにもなりかねません。

ファクタリング審査で大切なのは信用力
ファクタリング会社が審査で一番重視するのは売掛先の信用力、そして売掛金の支払い期日です。ファクタリング会社にとって、売掛金を回収できるかどうかが最も重要だからです。しかし、利用する会社に対する信用力も重視されます。実際、ファクタリング会社と最初に顔を合わせ深く関わるのは、売掛先ではなく利用する会社の方だからです。
