2020年10月から消費増税が始まり、はや1カ月が過ぎましたね。
客足が減って売上を落とす企業も続々と出てきていますが、反対に売り上げがアップしている企業もあります。
今ネットで話題になっているのは、「イートイン脱税」です。
消費増税をきっかけとして、現場はどのように変化しているのでしょうか。
テイクアウトの需要が伸びて売上アップ!
都内の大手定食チェーンでは、増税後にある一定の変化があったというところがあります。
大戸屋の広報担当・岩熊英一さんによると、9月から10月にかけてテイクアウトの人気が大きく伸びているとのことです。
お店全体でいうと前月比は10.5%、5%の伸びを示しています。
大戸屋では事前に、増税後消費税率8%のままのテイクアウトが人気になることを想定し、持ち帰りのメニューを注文できるアプリを導入していました。
その結果、気軽に注文するお客さんが増え、テイクアウトの需要が増し、売り上げ全体もアップしたのですね!
税率のバリエーションが複数あることで年末商戦が懸念される
一方で、東京・江東区にある塩うどんが人気のお店では、店内飲食とテイクアウトで税率が変わってくるため、店内用とテイクアウト用で2つのレジを入れています。
増税初日の10月1日には、領収書発行で手間取っていたシーンが多くみられました…。
軽減税率により、結果的に複数の税率が発生して不安な声や批判も相次いでいます。
消費者からは「分かりにくい」というクレームも当然ながら出ています。
塩うどん 和菓子「梅むら」の大窪諭店主によると、事業者側から言えば、複数の税率はとても厄介で面倒です。
だからできる限り早く統一税率にしてほしいと話しています。
複数成立にしてから初めての年末商戦になるわけなので、店舗側としても想像つかないのでしょう。
軽減税率を巡って何かと注目されてきたのが、買った商品を店内で食べられるイートインです。
増税直後には、ネット内で「イートイン脱税」という言葉が話題になりました。
イートイン脱税とは?
イートイン脱税は、テイクアウト(軽減税率8%)で買ったものを、本来10%かかるはずのイートインスペースで飲食することです。
外食にあたりますが、テイクアウトしたものなので10%ではなく8%。
細かい話ですが、2%の脱税が可能ということになります。
コーヒーチェーン「ドトールコーヒー」では、通常温かい飲み物を店内で飲むときはマグカップに入れてくれます。
反面、テイクアウトの場合は紙コップに入れます。
ただし、店内で少し飲んだらすぐお店の外に出てしまうお客さんもいますよね。
このような場合、テイクアウトの紙コップで飲食ができる10%の消費税を払ったサインになるシールをカップに貼って区別しています。
食料品の税率は据え置き。そこまで消費者心理に大きな変化はなし?
10月1日に始まった増税から一か月。
今後の経済の流れについて、第一生命経済研究所の藤代宏一氏はこのように話しています。
藤代宏一氏:「10月の消費の実態は台風19号の影響もあり把握しにくいです。
生活に一番身近な食料品の税率は据え置かれたこともあり、消費者心理が悪化しているわけではありません。」
と、楽観的な視点でした。
しかしながらなかなか賃金が上がらない昨今、引き続き消費の動向を深く追求していく必要があると言います。
今後も慎重に経過観察していく必要がありますね。
おせちは軽減税率対象なるも、1万円以上は対象外
都内の百貨店では、来年の正月に向けて「おせち」が披露されました。
10月の消費増税後、初めてのおせち商戦です!
おせちは食品なので当然軽減税率の対象になります。
松屋銀座は高級レストランやホテルのおせちをより一層充実させました。レストランで食べると10%に上がってしまいますが、おせちを買ってご家庭で食べる分には軽減税率は8%になることを強調しています。
シャンパンやワインと一緒に食べても違和感のないフレンチ風のおせちや伊勢海老、キャビアなど高級食材を贅沢に盛り込んだおせちも登場しています。
高島屋では、テレビ放映40周年を迎えるキャラクターを主役とした4段のお重が登場しています。
ご家庭で食べることを想定し、お子さんからご年配の方まで好みに合わせて楽しめるように和・洋・中の3種類の料理を加えています。
ただし、陶器や漆塗りといった比較的高価な容器を使っていて10000円以上超えるおせちもあります。
1万円以上超えるおせちについては、残念ながら軽減税率がききません。
少しややこしいですが、お間違えなく!